被害者にも事故発生に関する一定の落ち度がある場合に,一定の割合で損害賠償額を減額し,「損害の公平な分担」を図るのが「過失相殺」と言われるものです。
このように,「過失相殺」は「損害の公平な分担」の観点から,「自己に発生した損害の一部を相手方に請求できない」ということを意味するに過ぎず,「過失相殺」の「過失」は,相手方に対する損害賠償責任や刑事責任を基礎付ける注意義務違反としての「過失」(民法709条)とは別概念です。
民法722条2項は,「被害者に過失があったときは,裁判所は,これを考慮して,損害賠償の額を定めることができる」としており,どの程度の過失相殺を行うかは,裁判官の自由裁量とされています。
交通事故の分野においては,これまで集積された裁判例などに基づいて,過失割合の基準が事故態様別にある程度類型化されており,一般的には,別冊判例タイムズ38号「民事交通訴訟における過失相殺率の認定基準」(全訂5版)という文献に掲載された基準が実務上重視されています。
この本の中では,交通事故の類型が
に分類され,それぞれについてさらに細かい場合分けがされて,338通りの過失相殺率基準と各基準についての修正要素が解説されています。
もっとも,交通事故の態様によっては,この338通りの基準の中にも直接当てはまる図が見当たらない場合もあり,そのような場合にはできる限り近い図を適宜修正して参考とすることになります。
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