死亡による逸失利益は,
①基礎収入×②(1-生活費控除率)×③中間利息控除係数
という数式によって算出されます。
※ 中間利息控除係数は,就労可能年数に対応した数値が用いられます。
基礎収入の考え方については,後遺症逸失利益のページに記載しておりますので,そちらをご覧ください。
会社役員の役員報酬については,労務提供対価部分と利益配当的部分により構成されるものと理解されていますが,会社役員の休業損害や後遺症逸失利益の算定においては,労務提供対価部分のみが逸失利益の基礎となります。
これに対して,死亡逸失利益の算定においては,一般的に利益配当的部分についても逸失利益の基礎となるものと考えられています。
死亡による逸失利益は,「交通事故の被害者が,仮に交通事故で死亡せず働き続けたと仮定した場合に,将来的に得られるはずであった収入」を賠償するというものです。
しかし,実際に交通事故で死亡せず働き続けた場合には生活費がかかりますので,想定される収入の一定割合については,生活費に充てられるものと仮定して,収入から控除されることになります。
この生活費に充てられるであろう一定の割合を「生活費控除率」といいます。
控除の割合については,被害者の立場・属性によって,おおむね以下のように類型化されています。
一家の支柱 | 被扶養者1人 | 0.4 |
被扶養者2人以上 | 0.3 | |
女性(主婦,独身,幼児等を含む) | 0.3 | |
男性(独身,幼児等を含む) | 0.5 |
中間利息控除係数の考え方については,後遺症逸失利益のページに記載しておりますので,そちらをご覧ください。
死亡した被害者の勤務先に退職金規程がある場合に,死亡時に支給された死亡退職金と定年まで勤務すれば支給されたはずの退職金との差額が逸失利益と認められた裁判例があります。
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